日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

2020年のうちに語っておきたかったこと(2)新しいプレイスタイルとテレキャスターブーム

前記事のつづきです。

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【7】新しいギタースタイル

3年におよぶアルバム制作で本当にたくさんの試行錯誤をしていまして、1曲のギターパートに1000テイク以上も録ったりとか、ストリングスパートを1か月くらいかけてアレンジしてそれを結局ボツにしたりとか、そういう途方も無いことをやってきました。もちろん時間をかけることが正しいかどうかは別の話です。

その中の1つとしてエレキギターの新しいプレイスタイルのヒントを見つけたような気がします。

新スタイルの手がかりとダイナコンプ
以前、自分の「僕のギターヒーロー達(前編 / 後編)」ということでブログ記事を書いたことがあります。自分がかつて得意としていたブルース寄りであったり、爆音サイケだったりという、言ってみれば「直球」のかっこよさも良いんだけど、それ以外でどうにかいいギターが弾けないかな?というのがここ数年のテーマでした。

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個人的には歌伴で参加している作品を聴くことが多いですが(南こうせつ吉田拓郎細野晴臣ムーンライダース等々) こちら徳武弘文氏のソロ作品。ジャケに描かれている彼のシグネイチャーモデルは市販されたことがあり僕も所有しています。

冒頭に書いたように1曲に1000テイクとかというのは要するにあれこれ作ったり練習したりしながら録っているからですね。

アルバムに収録予定の「メランコリー」という曲があるのですが、その曲で辿り着いたのが敬愛する徳武弘文氏やエイモスギャレット氏などのスタイル。もちろん全然力及ばないのですがそれらを自分なりに良いとこ取りしたようなスタイルにヒントを見出しました。それが2018年後半だったかと思います。

同じスタイルでもう1曲、2019年に「涙が出ちゃうよ(新録ver)」という曲を録りました。その曲ではコンプをかける魅力にも目覚めました。サスティンを増やすために歪みではなくコンプという選択肢。僕のような音楽性ではすでに多用していてもおかしくなかったのですが。

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左が昨年導入したお気に入りのコンプ(ツマミは交換済)。「パキパキ」と形容されるダイナコンプ系の音も作れて、さらに原音をどれくらい混ぜるかを調整できるのが便利。右のOne Controlも同時期に購入したアイテムで、こちらはFebder系のアンプをシミュレートできるオーバードライブ。こちらもお気に入りで自宅でもつなぎっぱなしです。


カントリーフレイバーをカントリーじゃない音楽に
2020年になりコロナ禍のなか配信ライブをいくつかやったりして、上記のプレイスタイルや、コンプを印象的にかける音作りを実戦で使用する機会が訪れました(自分が歌うだけでなくゲストボーカル入りの曲もあったので、ギタリストに専念できるチャンスもあったことも楽しかったです)

ただ、やってみて正直それほど新境地に行けたわけではなかったのです。新スタイルは曲調も選ぶし難易度も高く、また久しぶりの再結成、ライブ自体も久しぶりで余裕もなかったので。

とは言え以前から取り組んでいた<カントリー的な要素をカントリーでない曲で入れ込む>ということは無意識的にやっていて。それを配信を観てくれたマッキンこと松木俊郎氏に褒めてもらえたんですね。それで「あ、自分の得意なこと、やりたいことってこれだった!」と気づけたということがありました。

マッキンは軽い気持ちでコメントくれたのだと思いますが、自分の中ではわりと大きな転機になりました。


秋以降は下に書くようにテレキャスターやカントリーロックの再燃があったりで、またさらに広げていくヒントが見つかりました。まだまだモノにできていないですが、どんどん研究と練習をしていって自分なりの色が出せたらいいなと思っています。

同時に、難易度的にそんなに高くなくていいからアドリブで自然に出てくるフレーズをもっと増やしていきたいですね。


【6】テレキャスター狂い
鈴木茂 再マイブーム
はっぴいえんど鈴木茂氏のギターを改めて聴き直しまくる時期が夏〜秋くらいにありました。フレーズはもちろんですが、音作りとか、弾くタッチとかの研究をしていました。はっぴいえんどはそれこそ10代の頃から聴いていますがそういうこだわりで聴くとまた発見が次々とありました。

はっぴいえんどを起点に鈴木茂氏の参加作品をいろいろ聴きまくるブーム到来。すでに聴きなじんだ荒井由実小坂忠細野晴臣大瀧詠一などを改めて聴き直したり、ティンパンアレー関連で聴けていなかった吉田美奈子2nd以降や、いしだあゆみ「アワー・コネクション」など。アワー~はティンパンファンならマストアイテムですがずっと入手しておらず、サブスクで聴けてお気に入りの1枚になりました。

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spotify「アワー・コネクション」リンクページ


テレキャスターかどうか」という偏った聴き方
鈴木茂氏は途中からストラトキャスターメインの人になりますが、72~73年頃(はっぴいえんど中後期)はテレキャスターも使っていました。73年の解散ライブ盤のジャケが印象的です。このライブ盤や、その前の時期にあたるライブテイク集(2004年発売の限定ボックスセットで明るみに)あたり、テレキャスターを堪能できました。 

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画像引用元:amazon

 

その流れで何度目かのテレキャスターマイブーム到来。僕は残像カフェ時代いろいろなギターを使っていましたが、2008年あたりからはテレキャスターがメインになりました。

ずっと弾いていられるし、弾くだけでなく眺めるだけで見惚れるし、見てると弾きたくなるし、本当に飽きないです。書物で勉強したり、歴史を学んだり、そういうもう本当に夢中になるマイブームが何度かありました。

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2003年発売、文庫版のこの本はバイブルのように何度も何度も読み返しています。徳武弘文氏、岸田繁氏、向井秀徳氏などのインタビュー、テレキャスターの歴史や代表的なプレイヤーについての記事など盛りだくさん。

その中でも今回は一番のマイブームで、ストラトやSGをまた買い直したいという欲すら消えてしまったほどです。本当に取り憑かれたようでしたね(今も続いていますが)。

それでいろんな名盤の中でもテレキャスのものばかり聴く時期に突入していきました。もはや「テレキャスターかどうか」「テレキャスターがどんな音で鳴っているか?」ということがそのアルバムの判断基準になってしまうくらいに。その時期はテレキャスターの入っていないアルバムはとりあえず聴かなかったです(乃木坂は別枠)。そんなとても偏屈な聴き方になっていきました。

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中でもジムメッシーナ在籍時のPOCO 1stには衝撃を受けました。ライブ盤はよく聴いていたのですがこれもサブスクの恩恵ですね。テレキャスターのパキパキした音。本当に度肝を抜かれまして、こんな音のギター弾きたい!と夢中になってしまいました。

その影響で自分のギターの改造もしたくなったし、弾き方から変えないとダメだということにも気づきました。指弾きにし、今までの倍くらいの強さで弾くように。(そうやって「リフレイン」という曲を録ったのでリリースになったらぜひ聴いてもらいたいです)

そのほかにも今まで聴いてきた作品──フォークとか、あまりエレキに注意して聴いていなかったものでも聴き方が変われば発見は多かったです。

自分がしてきた聴き方って、「メロディーとコード進行の関係」とか、アレンジとか、声質とか、そういう部分が大きかったので、知ってるアルバムでも「こんなだったのか!」とか「このギター、テレキャスじゃん」とかそういうたくさんの発見がありました。

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こちらは2016年発売、雑誌なので入手難しいかも知れませんが、「浮雲」こと長岡亮介氏ほか(表紙に出ている人以外にも大勢)の愛機紹介に加えて、テレキャスターのメンテマニュアル的記事もあって愛読しまくっています。ちなみに心の師匠である徳武氏は前述の「前略~」と両方の本で愛機を紹介しているのですが同じギターがいろいろと改造されて変貌を遂げていてそれも興味深いです。

自分のテレキャスターの改造を始める
上で書いたように自分の楽器もカスタマイズしたくなりました。時間と予算のこともあり、秋から始めて現在も長期的にいろいろやっている最中です。

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経過については後日SNSやブログ等でレポしようと思っています。そして改造が終わったときのギターも楽しみにしていてください(あんまりわからない変化かもしれませんが笑)



【5】あがた森魚 今年もライブとレコーディングに参加
ライブでの新しい取り組み
数年にわたり度々呼んでいただいている あがた森魚氏のライブでもその新しいプレイスタイルを取り入れたいなと挑戦をしてみました。

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2020年中にエレキで参加したのは11月の渋谷クラブクアトロの1公演のみでしたが、そこで新しいアプローチが出来た部分もあれば今までどおりだったこともありつつ、まあ大きな1歩だったと思います。

もちろん主役はあがたさんで、彼の描くイメージを壊すようなことをしようとは思っていません。その範囲内で(でもそもそもあがたさんは要望を言うところは言うが、それ以外は自由にやらせてもらえるので本当に素晴らしい環境なんです)もっと曲を理解し、世界を広げられるようになればいいなと思っています。

それ以外の公演はアコギで参加しましたが12月や自粛期間前の1~2月、ライブ参加させてもらいまして、こちらはこちらでいろいろと挑戦しました。

アコギらしからぬセッティング(主に空間系、ここ一番のとにには歪み系も)で曲によりいろんな音作りをしサウンドに広がりと深みをもたせたいなという試み。

アコギのときは2人編成とか少人数編成のことが多いので、奇をてらうというよりは、少ない楽器の中でいろいろと曲の色づけをしていけたらなと、そういう気持ちです。

f:id:zanzow:20200327123734j:plain高崎SLOW TIME CAFEでのライブに鈴木卓爾 監督・井浦新 氏も登壇。翌日高崎映画祭授賞式(無観客)にて最優秀作品賞を受賞した『嵐電』(音楽:あがた森魚)に僕もコーラスで参加しています。

レコーディングにも参加
ライブだけでなく、10年連続リリースのラストを飾る『浦島2020』にコーラスで参加させていただきました。2曲だけでしたが先日も書いたように「boxing day」では20人分くらい歌っています。

シリーズラストの作品→ラスト作品→引退なんて伝言ゲームのごとく引退説が流れましたが、引退の「い」の字もない勢いのあがた森魚。2021年も走り続けることでしょう。また声をかけていただいたときには馳せ参じます。

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あがた森魚『浦島2020』


(次記事に続きます)