日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

何かにこったり狂ったりしたことがあるかい?

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◆何かにこったり狂ったりしたことがあるかい?
タイトルはムッシュの名曲「ゴロワーズを吸ったことがあるかい?」の歌詞より。1974年、来日していたTOWER OF POWERと突撃コラボしたオリジナル版は言わずもがな、90年代のコーネリアス氏との熱いライブバージョン(これのM11ボーナストラックと同じテイク?)の映像がYOUTUBEにあがっていて相当ヤバかったのです。(今は削除されてしまったようです...。)

彼が亡くなったとき僕はTwitterに短い文章を書いたのですが、
“いつでもかっこよくなきゃいけないってことを教えてくれた”
そんなことだったかなぁ。違ったかなあ。でもそういうことなんだよなぁ。


◆夢中になるとまわりが見えなくなった
ムッシュと比べたら月とスッポンですが、僕も昔からハマる時は結構ハマる性格だったように思います。一方で飽き性な面もあるけど、、両極端なんですかね。

小さい頃から家や学校・習い事で音楽には触れていましたが、意識して音楽に初めてハマったのは小6のときでした。親の聴いていた日本のフォークソングビートルズなどを自分から聴くようになり、ギターも始めて、家で暇さえあればずっとギター弾いたり、自作の歌本を作ったり、朝から晩までフォークを聴いて、自由な時間はとにかく音楽でした。思えばこれで人生が決まったのでしょうね。

高校でスピッツにハマったときには作る曲が全部似てしまったり、大学でジャズ研に入ったときにはジャズ以外の音楽がすべてつまらなく思えてしまったり(すぐ戻りましたが)。そんな感じでガーッとハマるとそれ以外が見えなくなるところがありますねぇ。

Perfumeのときもそうだったなあ(世間より遅れて『LEVEL3』発売した少し後くらいにハマりました)。洗練されたトラックは新鮮に映り、自分の志向をがらりと変えました。慣れ親しんだ音楽の土臭い空気感やお決まりのフレーズ、生演奏の温度感とか、そういうのを一切排除したい気持ちになりました。
ちょうど自分のバンド「花と路地」が休止した時期だったので、打ち込みを覚え、それまでの“自分らしさ”を無くせるだけ無くしてみよう!と極端に振り切ってみようとしていた時期でした。


◆乃木坂にハマる自分の見え方
そんなこんなでここに来て乃木坂46です。ハマっていることをカミングアウトしまして半年くらいが経ちましたかね。聴き始めたのはもっと前ですが。

【5記事ほど語りました】↓
乃木坂46 カテゴリーの記事一覧 - 日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

自分的にはロックやフォークと同列で語りたいという気持ちでいるんですけどね。でも相反して、そんなキャラでない僕がまんまとハマっている“照れ”も同居していて。

でも今回のことはミーハー的にハマったと同時に、“音楽的”にもハマったので、それは自分の音楽活動にも多かれ少なかれ影響します。なのでハマった宣言も含め一通り語っておく必要がありました。そうでないと──大げさな書き方になってしまうけど──ブログが次に進めないというか。制作のことを書くのに、なぜそういう形になっていったのかを書かないとその記事自体が書けなくなってしまうので。

それはそうと思い切ってカミングアウトしたわりにはほとんどリアクションはなかったですね。(いつも「いいね」くれる人はくれる、くらいの感じ。)みんなと直接会って世間話する機会が減ったことも関係してるかな。

でも、僕が思っていたより40男が乃木坂にハマることは世間では全然普通のことなんですかね。それともただスルーされているだけなのか...。どうなんでしょうか。
まあいずれにせよこれからも時々は乃木坂ネタも投下するつもりでいます。反応がわからないのでどんなテンションと頻度で書いていけばいいのか手探りなところはありますが(笑)まあいいや、気にしないで我が道を行くことにします。


◆乃木坂っぽい曲を作ろうとしたら
別ブログ<制作日誌>のほうでも書きましたが、以前乃木坂のいくつかの楽曲にヒントを得て「Aメロが早口になっている曲」を書こうとしたときのこと。

未完に終わったのですが、なぜか玉置浩二「田園」と乃木坂の共通点を見出して一人盛り上がっていました。

【こちらに書きました】↓
アレンジ大転換?〜乃木坂にハマった頃(2019.5.13~5.21) - 大森元気の制作日誌

 


◆いろんなものに夢中になったり飽きたり
まあ単純ですよね、ハマったからそれに影響うけて「こんな曲を書いてみよう」となる。シンガーソングライターやバンドのコンポーザーなら多かれ少なかれ誰しもあることだと思います。(もちろんメロディーや歌詞を真似したらアウトですが。)

ディランやビートルズだってそうやって古きよきものを取り込み、自らのフィルターを通したり組み合わせたりすることで革新的なものを生み出してきたわけだし、僕の20代のヒーローだったくるりサニーデイだってその時その時のマイブームをあれこれ採り入れて素晴らしいアルバムを残してきました。ファンも一緒にその元ネタにハマったりして。

暴論になりますが、そうやっていろんなものを吸収しながら新しいものを作り出す気持ちを失くしてしまったら、逆につまらないものしか出来ないんじゃないかなあと。誰の影響も受けない、純粋に自分の中から生まれるものだけで音楽を作ることは素晴らしいことだとは思いますが、量産していくうちに似たようなものしか出来なくなってしまうんじゃないかなあ。


◆熱病のようにかぶれて作ってみること
出来たものの完成度にもよりますが、僕の場合でいうと確かにハマっている最中に出来るものは影響受けすぎて恥ずかしかったり、モノにならなかったりということも多いです。

Perfumeなり乃木坂なり、僕が「僕らしくない曲」を作っても本家と同じ魅力のものは絶対生まれないし、仮に同じものが出来たとしてもそれは「模倣」だから、価値も魅力もないものでしょう。リスナーも戸惑うし、離れていく人もいるでしょう。(くるりみたいにファンを一緒にまきこんでいけるようなアーティストは凄いと思いますね)

けれどもそういう恥ずかしい感じになろうとも、熱病のように一時的にかぶれることで、普段には生まれないようなものが爆発的に生まれることも知っていて。そこに賭けてみたい、あえてブレーキをかけずに乗ってみたいという気持ちは割と強いんです。

痛いもの、完成に至らないもの。それらは後から冷静になったときにいくらでも作り直せる。そうやってじきに自分らしさとうまく融合できるバランスが見つかるんじゃないかなと。それを信じている自分がいます。

我を忘れるくらい何かに夢中になることなんて、大人になるとそうそうあるわけではないのだから、少しくらいこっけいに、痛々しく映っても、そのときにしか感じない気持ちを思いっきり感じ、そのときにしか書けないものを書くべきと。それを大事にしたいなあ。

ここまで書いて、“恋”を語るのと大して変わらないなと気づきましたが。思春期の恋とか、大人になってからだって恋に落ちて自分が自分じゃなくなってしまう感じ。相手につられて自分も輝いていると錯覚するあの感じ。そんなのと似ているかもしれません。


※今作っているアルバムにあからさまに乃木坂の影響を受けた曲はありませんが、アレンジとかいろいろ勉強になった部分があって、それについては近日中にブログに書く予定です。


      Information
【release】
●現在新作をレコーディング中です。
  別ブログ「大森元気の制作日誌」更新再開しました。

●自主レーベル10周年&大森元気30代を総括するbest盤
  『メランコリー OOMORIGENKI 2009-2018 BEST』 発売中
現在はライブ会場&通販にて購入可。→こちらから
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【 live 】 
あがた森魚ライブに不定期で参加させて頂いています。
ライブスケジュールはこちら。大森がどれに参加するかは後ほどお知らせします。

◆自身のライブは決まり次第お知らせします。
お誘いもお待ちしています!

【 works 】
現在全国公開中 映画「嵐電(らんでん)
(監督=鈴木卓爾/主演=井浦新/音楽=あがた森魚
TAMA 映画フォーラムにて最優秀作品賞&井浦新さんが最優秀主演男優賞を受賞!
・高崎映画祭にて最優秀作品賞受賞
あがた森魚によるエンディングテーマにコーラスで参加しています。

【 media 】
WEBマガジン「Cheer Up!」10周年&クリスマス特集「Cheer Up! Christmas」の中の「My Favorite Christmas Music」というコーナーに寄稿させて頂きました。
 Cheer Up! Christmas ---Cheer Up! WEB