日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

僕がスピッツを好きになったきっかけ~「夏が終わる」スピッツ カバー【動画シリーズ9月(1)】

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動画シリーズ振り返りの続きです。今年は9月に入った途端涼しい風が吹いてきました。そんなタイミングで秋のはじめの大好きな曲をカバーしました。

古い音楽ばかり聴いていた僕がスピッツに出会った日

以前も書きましたが、60~70年代の音楽ばかり聴いていた10代の頃の僕がリアルタイムのバンドを聴き始めるきっかけとなったのが高校時代に出会ったスピッツでした。

田舎だったしあまりアンテナも張っていなかったので「ロビンソン」(95年)で大ブレイクするまでバンド名すら知らなかったんですね。(僕の周りでは1つ前のシングル「スパイダー」あたりから話題にはなっていたみたいです)

ただし「ロビンソン」を聴いて突然ハマったわけではなくて、2つ前のアルバム『Crispy!』を後追いで聴いたことが直接のきっかけでした。

その日のことは覚えていて、高校2年の秋、友人の澤田君の部屋(バンドの練習場でもありました)で、たまたま聴かせてもらったカセットテープがアルバム『Crispy!』だったのでした。

流行りの音楽もちょっとずつ聴き始めてはいましたが、基本フォークしかハマっていなかった音楽指向ががらりと変わった瞬間でした。時を待たずして作る曲が全部スピッツっぽくなり(笑)髪型まで真似したり(苦笑)眼鏡をコンタクトに変えたり(恥)高校を卒業してもそんな時期は続きましたが、その時期を抜けてもなお自分の作曲法に多大な影響を与えてくれたスピッツ。人生で大きな出会いと言ってもいいと思います。

ちなみに出会わせてくれた澤田君とは高校時代のバンド、上京後のバンド、さらに残像カフェでも一緒にバンドをすることになります。これもまた人生で大きな出来事。

 

新しいのに懐かしくて切ない音楽

しかしなぜ『Crispy!』だったのか。もちろんたまたま最初に聴いたというのもありますが、フォークしか聴いていなかった言わば<オッサン的な耳>にひっかかるツボがあったのだと思います。

記憶は薄れていますが、なんと言っても今回カバーした「夏が終わる」の切なさは衝撃的だったはずです。フォーク耳の僕にもこんな儚くて切ない音楽を鳴らすバンドがいるんだ!と。それがアルバム2曲目で、続く3曲目「裸のままで」のファンキーとポップのバランス、4曲目「君が思い出になる前に」の王道泣きメロ。今となればこの3曲の流れでやられたのだと思います。

寂しさで言えばアルバム後半の「多摩川」と「黒い翼」もツボで、高3のときには受験の下見のついでに栃木から多摩川を観に行く1人旅をしたこともありました。

(後日追記) 書き忘れましたが「君だけを」も超絶名曲!

田舎から東京のバンドの音を聴いているはずなのに、なぜかどうしようもなく懐かしい。切なくて泣きそうになる。思い出しそうなのに思い出せないような感情。そんな心模様がスピッツの音楽からは溢れてきたし、それが一番強いのが『Crispy!』のアルバムだと個人的には思います。

 

シュールな比喩が少し変わってきた頃

メンバーのインタビューによるとメジャーデビューから3年半、売り上げがどうも伸びない状況を踏まえて、「売れるものを作る」という気持ちで新しい挑戦をした(ニュアンス的には「いくつかのこだわりを捨てた」的な?)」ようなことを言っていたようです。

ここから4作続く笹路正徳氏によるプロデュース、ホーンセクションなど派手目なアレンジ。歌詞の書き方も変化をしつつありました。

夏の魔物」カバーのときに書きましたが、初期はすべてが比喩だけでできているような、意味不明すれすれのシュールな歌詞が多かったマサムネ氏。この時期くらいからは比喩ではあってもより物語が見えるような作風に変化してきたように思います。

「♪遠くまでうろこ雲」
「♪またひとつ夏が終わる 音もたてずに」

これらは誰が聴いてもすぐ光景や心情が浮かんできます。かと言ってベタな書き方では決してなく、

「♪日に焼けた鎖骨からこぼれたそのパワーで」
「♪キツネみたい君の目は強くて」

など、詞的な表現はさすがとしか言いようがありません。

初期のシュールな謎解きのような歌詞も好きですが、この時期の、比喩多いけどわかるくらいの作風も本当に好きです。

売れたいという課題と、大事なこだわりは守りたいという2つの方向性が絶妙なバランスで同居していて。曲調やアレンジもそうですが、マサムネ氏が歌詞で辿り着いた境地であり挑戦の賜物であると思います。

同時期の「恋は夕暮れ」とかも聴くたびにSNSに語りたくなってしまうくらい大好きな歌詞です。いつかカバーしてみたいですね。

 

キー選定にはいつも迷います

動画シリーズでスピッツのカバーは4曲目になりますが、いつも書いているとおりキーの選定やボーカルの表現には大いに迷いました。

モノマネではないので自分なりに歌うべきですが、スピッツの世界観を台無しにはしたくないという気持ちが強くて。なのでなるべくキーは下げず、かといって高音はシャウト厳禁という難しいところでキーを設定する必要があります。 その縛りの中で今まではギリギリ高めのキーで歌ったのですが、今回は何種類か試してみてわりと下げてみたバージョンを公開用テイクに選びました(オリジナルから1音半下げ)。スピッツらしさを求めるあまり無理するよりは、自分の声が生きるほうを選んだ結果です。

高くないと雰囲気が出ない曲もあることは確かですが、今回は下げて正解だったかなと。あくまで自分的にですが。


www.youtube.com

「夏が終わる」
Coverd by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.9.8公開
Written by 草野正宗
Original Release:スピッツ『Crispy!』(1993) 


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information 


大森元気(ex残像カフェ/花と路地)は「残像のブーケ」というソロプロジェクト名で2020年心機一転始動しました。

【News / Release】
◆20.12.24 アルバム先行 第2弾「boys&girls」期間限定デジタルリリース
・Trailer映像▶こちら
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20.6.12 残像のブーケ初リリース曲「ぼくの愛する暮らし」参加コンピリリース
・MVつくりました▶ こちら
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【Live】
20.8 残像カフェ10年ぶり再集結終了。ありがとうございました。
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【OtherWorks】
・2021年11月発売、RISA COOPERこと岡田梨沙のソロアルバムに1曲楽曲提供しました→特設ページ / 全曲Teaser動画
あがた森魚 2013年以降の複数アルバムにコーラスで参加しています。またライブも不定期でサポート参加中(コーラス、アコギ、エレキギター
・2019年公開より1年以上今なおロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。
・「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。