■「星祭り」残像カフェ セルフカバー
(この動画は9.11から20年の日に公開しました)
ラブソングの中に世界情勢を
ラブソングの中に世界情勢を。そう書いてしまうとえらく大袈裟ですが少しだけそんなことを考えて書いた歌があります。
2001年の9.11(同時多発テロ)、そして同年の米国によるアフガン侵攻。テレビからの映像のインパクトも相まってそのショックは相当なものでした。具体的にそのことを歌にすることはありませんでしたが、1年くらい経ってから書いた「星祭り」という歌は、何となくそのあたりのことが背景となって生まれた歌です。
と言っても、一見ただのラブソング。そこが大事で。そんなふうにラブソングの形をとりながら、不穏に変わり続ける世界のことを書けたら。そう思ったのでした。
だからテロのことも戦火のことも、そういうワードは何1つ出てきません。でも何となく穏やかでない雰囲気が少しでもあれば十分かなと。
もちろん読み方は自由で。世界情勢と絡めなくてもそれはそれでいいのです。日常の中の何かでもいい、人によって何だってよくて。ただのラブソングに読まれてしまったとしても、それならそれでこの書き方をした意味があるというもので。
浅はかな自分を棚にあげたくない
2コーラス目に入り、少し踏み込んだフレーズが増えます。
「誰かのせいにすることは楽だよね
でも何にもしないままさ知ったつもりになってさ」
このあたりのフレーズは自分を省みたところもあります。時事問題や世界情勢のことを歌にするとき、不勉強ゆえの浅はかさが透けて見えてしまいがちです。それにどこか他人事のように書いてしまう恐れもある。深刻そうに語ったところで平和ボケでへらへら生きている自分もいて。
うすっぺらなおちゃらけたニュース
そして、情報をどう受け取るかという話。
「うすっぺらなうすっぺらなおちゃらけたニュースが
嘘か本当かわからないことを今日も喋ってるんだ」
局によってニュースの伝え方やウエイトの置き方が異なることは冷静に見ていれば分かります。忖度や圧力もあるかも知れません。疑いすぎると陰謀論や都市伝説という話にもなってきますが...。
ツイッターもスマホもなかった時代に、ニュースだけを見てすべてを信じてしまうことに警鐘を鳴らしたい気持ちもありました。もちろん自省を込めて。
今20年経ち、ネットが生活の一部となって情報の発信源やツールは多様化しました。しかし本当のことが何か、気を付けないと気づかなかったり惑わされてしまったり。その点では昔と変わらないのかも知れません。
星祭りとお盆と宮沢賢治と
というふうにちょっと社会派っぽくなってしまった2番、唐突に「そういえば今夜は星祭り」というフレーズ登場(笑)。
この歌は頭から順に書いていったはずですが、書いていて我に返ったのでしょう。ラブソングに引き戻したくなったのだと思います。
星祭りは七夕のことですが、七夕に限らずもっと漠然としたお祭りのイメージで用いました。ピンと来た方も多いかも知れませんが、宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」にもそれは出てきます。
星祭りの夜(賢治創作の“ケンタウル祭”とも)。友人を助けるために身代わりとなったカムパネルラ。9月説もあるようですが旧暦の七夕説が有力のようです。それは8/13前後でありお盆とも重なります(wikipediaによる)。
星祭りとお盆、ロマンチックな銀河の旅は、生と死のイメージが付きまといます。
僕の書いた「星祭り」に賢治の星祭りを唐突に持ってきたのはその場のひらめきでしたが、冒頭の「しんとした しんとした夜に」にも偶然合致したし、生と死、不安とロマンチックの混在したラブソングにしたくて書き始めたこの歌だったので、最後のピースがうまくはまった瞬間でした。
シリーズ初のエレキギター
今回の演奏については、この弾き語りシリーズ41作目にして初のエレキを使用してみました。
ボーカルにはマイクを使っていないのであまり大きな音でギターを出すわけにもいかず、弦の生音も聞こえている状態ですね。あと低音が出すぎ?音色については今後の課題かと(このシリーズはiphoneだけで録り加工・編集はなし。撮ったままの音なので)
「星祭り」
Perfomed by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.8.13公開
Written by 大森元気
Original Release:
●雑誌COOKIE SCENE #26 付録CD(2002)
●V.A.『STYLUS #7 WHO'S NEXT編〜オワラナイユメ、イロトリドリノミライ〜』(2003)
●残像カフェ『4月のことば』(2004)※別Mix
●残像カフェ『センチメンタル』(2007)
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■「ここから風が」小室等カバー
混迷する世の中、響くうた
オリンピック、コロナ禍。そんな2021年には今まで以上に響いてくる歌だなあと。恐らく、自分がこれまでライブ等でカバーしてきた歌のうち、最も演奏回数が多い歌だと思います。
小室等氏のベスト盤のタイトルにもなっている、彼の代表曲の一つと言ってもいい楽曲ですが、ファンの人以外にはあまり知られていない曲だと思います。
「偉い人は日本を金持ちにした/
その分だけ生きてる者たちが/
生きてるものたちが悲しい目に遭ったから」
「人はみんなカサカサと時間を食べている/
その分だけ一番いい夢が/
一番いい夢が見つからなくなったから」
そんなメッセージは胸に突き刺さります。
「心おさえて、全国的」
知的障がいを持った人たちが大らかに働く信楽(しがらき)の窯業の里を収めた「しがらきから吹いてくる風」という記録映画。この歌はそのテーマソングにもなっています。
この歌の中で印象的に使われる「僕らも心がなさけない」「心おさえて」「全国的」というフレーズ。これらは、その信楽の施設・信楽青年寮で暮らす伊藤喜彦さんという方の口癖なんだそうです。(小室氏のセルフライナーノーツより)
小室氏も書いていますが、
「征ちゃん(作詞家 田島氏)には内緒だけど、喜彦さんの言葉がなかったら、こんないい歌にはならなかったろうな。解釈しきれないものがありますよね、そのことをね、そっと、そのまま、ね」
と。 ぼくもそう思います。日本の状況を憂いる、ちょっと辛辣な内容になりそうな楽曲が、この言葉のお陰で物腰柔らかく、そしてイマジネーションを膨らませてくれるような感触になっていて、それがまたこの曲を好きな理由でもあります。
小室氏のバージョンではアコギに、高音のマンドリンが綺麗に重ねられています。その感じを出したくて、あえてカポを付けて高いポジションで演奏してみました。
「ここから風が」
Performed by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.8.3公開
Lyrics 田島征三/music 小室等
Original Release:小室等『午後のレフュージー』(1991) & more
◆弾き語り動画シリーズ(一覧ページ)はこちら
information
大森元気(ex残像カフェ/花と路地)は「残像のブーケ」というソロプロジェクト名で2020年心機一転始動しました。
【News / Release】
◆20.12.24 アルバム先行 第2弾「boys&girls」期間限定デジタルリリース
・Trailer映像▶こちら
・各サブスクへのリンクページ▶こちら
◆20.6.12 残像のブーケ初リリース曲「ぼくの愛する暮らし」参加コンピリリース
・MVつくりました▶ こちら
・各サブスクへのリンクページ▶こちら
※再生していただくだけでコロナ禍打撃店舗への支援収益となります
◆Youtubeチャンネルにて自宅で歌うセルフカバーシリーズ公開中。弾き語りシリーズ不定期更新中。
【Live】
20.8 残像カフェ10年ぶり再集結終了。ありがとうございました。
残像のブーケおよびサポート参加ライブは決まり次第お知らせします
【OtherWorks】
・あがた森魚2020年アルバム『浦島2020』に2曲コーラスで参加
・あがた森魚2019年アルバム『観光おみやげ第三惑星』複数曲にコーラスで参加
・2019年公開より1年以上今なおロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。
・「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。