■「ほおずき」グレープ/さだまさし カバー
「ほおずき」の裏に描かれるストーリー
梅雨が明けるとこの歌を歌いたくなります。
さだまさし氏の楽曲はまるで1つの小説のようだ、とはよく言われることですがこの歌もしかり。
今回カバーするにあたりもう1度歌詞をよく読んでみました。(過去にも書いたことがありますが、幼少期より聴き馴染んでいた歌ほど、理解が当時のままで止まってしまっていることが僕にはよくあるので)
日本的な夏祭り、縁日の風景、そこに投影する、昔終わった恋の歌。そんなふうにこの歌を捉えていましたが、ひょっとしたらかつての恋人とは死別しているのでは?と考えることもできるのだなと思うようになりました。
あくまで解釈の1つですが、ネット上でもファンの方が同様の指摘をしているのを見つけることができました。
「君の下駄の鼻緒が切れた」「消えない花火があるなら欲しい」これらは幸せな恋が終わる暗示であることは間違いないですが、命が終わることのイメージと捉えても不自然とは言えないでしょう。情景描写で登場させている「走馬灯」にもその意味が込められていると言ったら言い過ぎでしょうか。
「精霊流し」からの流れと共通性
2枚目のシングル「精霊流し」がレコード大賞を受賞し、それに続く「追伸」はバラードでありつつも少し明るい曲調。それが思うようにヒットに至らなかったことで、再び「精霊流し」路線を、という目論見があったかどうかは定かではありません。
ただ曲調が再びマイナーになったこと、そして死を想起させる内容、さらに梅雨明けが7月中旬とすれば、新暦のお盆と重なります。そんなところにも死のイメージがあると言えるかも知れません。(もっとも精霊流しは旧暦(8月)のお盆行事だそうですが)
その後明るい「朝刊」で売れず、暗い「無縁坂」が売れ、さらに同系の「縁切寺」がアルバム曲であるにもかかわらず人気が出たことで葛藤した話は有名です。
発掘ライブ盤での演奏に驚愕
そういえば解散コンサートのライブ盤を最近初めて聴いたのですが(「ライブ三年坂」とは別のライブ盤で、当時ラジオのみでオンエアされたものが「伝説の神田共立ライブ グレープラストコンサート」として2006年に発売されたもの)、そこに収録されているこの歌のバージョンには驚愕しました。
少しテンポ速め?と思いながら聴いていたらアウトロが凄まじいロック調になっていて度肝を抜かれました。(リードギターはファズとフランジャー(フェイズシフター?)がかかっていて強烈だし、ポンタ氏と思われるドラムも連打の応酬で物凄い迫力です。
CDやサブスクで聴けます。興味ある方は聴いてみてください。
(後日注:CDが手元にないのでメンバー紹介のMCの聴き取りで確認した限りですが、このライブのドラムは別の方みたいです。ポンタ氏は「ライブ三年坂」には参加していて、迫力あるプレイも似通っていたので勘違いしました。大変失礼しました)
カバーしてみて...
今回深夜だったので少し大人しめな演奏になっています。 聴き馴染んだ歌ではありましたが、カバーするのは初めて。変則的なスリーフィンガーをしながら歌うのは予想より難しかったです。
間奏とアウトロは、本来アコギ・エレキ・ストリングスでまかなっているアンサンブルをギター1本に変換したアレンジをしてみました。だいぶいっぱいいっぱいですが苦笑
「ほおずき」
Performed by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.7.23公開
Written by さだまさし
Original Release : グレープ『せせらぎ』1975 & more live version
■セルフカバー「7月、夕立」
描かないエロさ
ロマンチックは前提として。エロく描かずにエロさを。この言い方自体がすでに下世話ですが、若い頃そんなことを思って歌を書いていたことは結構あって、その中でも最たるものがこの歌だったように思います。
と言っても内容的には夕立に遭って喫茶店に逃げ込むだけのストーリー。ですがそこからいろんな光景や、ドキドキや、今後の2人の関係性の変化が垣間見れたらいいなと。
実験的作品”zanzowcafe extra”については「雨の風景」のときに書きましたが、この曲もそこに収録されています。他曲同様、この歌も水島君によってコード感やリズムが大胆にアレンジされていたので、もしオリジナルバージョンをお持ちの方は聴き比べてもらうと楽しいかと思います。
今回のセルフカバーは、冒頭のフェイクを除けばほぼオリジナルverを元にしています。(オリジナルVerはアコギ、エレキ、コーラスという編成で、頭の中ではバンドの音も鳴らしながら当時アレンジしてみたものです)
いつかバンドアレンジで...
どこかで言ったことがあったかなかったか。この曲のバンドverをリリースすべく、ミュージシャン達とともにアレンジ作業をしていたことがあります。
REC前に計画は流れてしまい、さらに前述のzanzowcafe extraの話が出たときにも「(今回は水島くんに好き勝手にアレンジしてもらうけど)あとでオリジナルバージョンをリリースできたら」という話をレーベルとしていたのです。しかし、それも流れてしまいました。
過去の曲ではありますが、そんな経緯もあるし、こんな、今では書かないような歌詞も気に入っているので、いつかちゃんとバンドで録ってみたい曲の1つです。
「7月、夕立」
Performed by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.7.30公開
written by 大森元気
Original Release:
・大森元気『8月の心の揺れかた』(曲名ちがいで収録)
・zanzow cafe extra『zanzow cafe extra』(2007)
◆弾き語り動画シリーズ(一覧ページ)はこちら
information
大森元気(ex残像カフェ/花と路地)は「残像のブーケ」というソロプロジェクト名で2020年心機一転始動しました。
【News / Release】
◆20.12.24 アルバム先行 第2弾「boys&girls」期間限定デジタルリリース
・Trailer映像▶こちら
・各サブスクへのリンクページ▶こちら
◆20.6.12 残像のブーケ初リリース曲「ぼくの愛する暮らし」参加コンピリリース
・MVつくりました▶ こちら
・各サブスクへのリンクページ▶こちら
※再生していただくだけでコロナ禍打撃店舗への支援収益となります
◆Youtubeチャンネルにて自宅で歌うセルフカバーシリーズ公開中。弾き語りシリーズ不定期更新中。
【Live】
20.8 残像カフェ10年ぶり再集結終了。ありがとうございました。
残像のブーケおよびサポート参加ライブは決まり次第お知らせします
【OtherWorks】
・あがた森魚2020年アルバム『浦島2020』に2曲コーラスで参加
・あがた森魚2019年アルバム『観光おみやげ第三惑星』複数曲にコーラスで参加
・2019年公開より1年以上今なおロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。
・「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。