日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

MV撮影奮闘記~15のエピソード(写真多数)

「旅するように歌うのだ」ミュージックビデオ、フルバージョン公開から約3週間となりますが、ご覧いただけていますでしょうか。

今回の記事は、そんなMVの撮影ウラ話なんかを書いてみようかなと思います。記事内の写真は、一部を除きMVからのキャプチャになります。

 

1.完全セルフ撮影

今回はすべて1人で撮影しました。慣れないカメラ、装備もしょぼく、経験不足も大きく...。つたないところだらけの作品ではありますが、まあ限られたスケジュールと予算の中でやれるだけやろうと、そんな思いを込めて制作しました。

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セルフ撮影、あまりにバタバタして自分の荷物が写っている!笑

ちゃんとした人にお願いしたほうが勿論クオリティーの高いものは出来ます。しかし費用対効果が薄かったり、時期がずれこんでタイミングを逃してしまったりということになったと思うので、この現状の中では最善を尽くせたかなあ。

2.北鎌倉で撮る理由

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今回のMVのテーマとして考えたのは「大森元気、北鎌倉~源氏山を久しぶりに訪れる」というものでした。

この歌を作った当時、僕は北鎌倉~源氏山に住んでいました。歌詞的には鎌倉のことは全然歌ってなくて、ほかの人からしてみたらどうでもいいことなのですが、その頃の気持ちだとか、流れている空気だとか、景色だとか、そういうものがぜんぶ歌の中ににじみ出ているんですね。

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僕以外の人には伝わらないし、伝わらなくてもいいんです。なので自己満足の世界ではありますが、かと言って今回はそれを切り離して客観的なものを作るのは何か違和感があって。自分としては源氏山以外で撮ることが思いつかなかったんですね。

MVって歌詞に忠実なものも中にはあるけれど、全然関係ない映像やストーリーが展開するもののほうが多くないですか。だからそれを逆手に取って、みんなには関係のないドキュメンタリーだけれど自分としてはばっちりリンクしている、そんな構図も面白いのかなと。

3.撮影順序、あずまや争奪戦

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さてそんなわけでいよいよ撮影です。北鎌倉での撮影は11月に2度行いました。

ストーリーはあんまり決めていなかったですが

< 前半 >  北鎌倉駅周辺~源氏山へ向かう道
<中盤~> 源氏山公園での演奏シーン

ざっくりそんな感じにして、あとは好きな風景とか、歩く途中で見つけたもの(花とか)を編集のときに入れ込んでいこうかなと。

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撮影順序もほぼ時系列どおりに。北鎌倉駅から源氏山への散歩という感じで撮っていこうと。そのほうが光の感じや色の変化なども自然になるんじゃないかと。

ただし、1つ心配だったのは源氏山公園に着いたときにどれだけ人がいるか?ということでした。源氏山公園の広場にある東屋(あずまや=屋根とベンチのある建物)で演奏シーンを撮りたいというのは最初から決めていました。

そこに先約がいたらもうそのシーンは撮れません。源氏山はハイキングコースの中間地点にもなっていて、あずまやは休憩や食事に最適です。先約がいたら入れ代わり立ち代わり色んな人が立ち寄ることが予想されました。そのため早朝に出発することに。観光客が来る前に到着しようと。

4.撮影1日目、朝の光がいい感じ

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と言っても始発とかではなく、8時すぎくらいに北鎌倉駅に到着しました。結果、朝の光の具合とか良かった気がします。

音源でいうと弾き語り風のあとバンドが入ってくる部分(タイトルがバーンと出るシーン)。そこで使用した光にあふれた駅前の風景の逆光になっている感じ。それから駅ホームの学生たちや、踏切を渡る女子高生...。それらはその時間に到着したから出会えた偶然で幸運なカットです。

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5.トラブル発生?

そこまで撮ったところで早くもトラブル発生。持ってきたSDカードが思っていたより少ない容量のものだったことに気づきました。あと想像よりたくさんのデータ量になるということも今さら知ります。

運よくコンビニに売っていたので購入して事なきを得ましたが、もしここで売ってなかったら....。北鎌には他に店がないので大船に移動しないといけませんでした。大船のコンビニにもしなければ家電量販店の開く10時まで待つはめに...。助かった...危なかった。準備不足もいいとこです(笑えない)

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MVには使っていませんが大好きなパン屋さん「Boon Bakery」さん再訪で久しぶりの味に感激

そんなトラブルや大好きなパン屋を再訪していたこともあり時間を費やしてしまいました。前述のあずまや争奪問題が気になっていたので駅近くの路地シーンは午後に回すことにしました。

 

6.源氏山公園で演奏シーンを撮影

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源氏山に着くと運よくあずやまに人はいませんでした。早速演奏シーン撮影に入ります。三脚がしょぼいやつだったので土の地面でなかなか水平が取れず苦労しました。

いろいろな距離や角度で何カットも撮影しましたが、残念ながらこの日の演奏シーンは一部しか使っていません(しかも1カットごとが短め)。何故かというと失敗が多かったんですね。

オートフォーカスの設定を誤ったことで、常にピントを合わせ続けるモード、つまりピントが合ったり合わなかったりが秒単位で繰り返している状態になってしまっていました...。すぐ気づけばよかったのですが、じっくりプレイバックをしている余裕がなかったのと、あとちょっとは気づいていたけどそんなに酷いと思っていなかったんですね。

 

7.iPhoneに切り替え~偶然の出会いその1

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昼が近づいてきた頃、デジカメのバッテリーが尽きました。替えのバッテリーを持っていないのはロケではあり得ないことなんですけどね。予想はしていましたが、昼食時にどこかで充電すればいいかと思っていたので事前に購入はしていませんでした。

充電に向かう前にiphoneでも撮れるだけ撮りました。

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自分が写る前に偶然写っていたこの女子2人の感じが好きで無理やり入れました。実は1秒もなくてスロー再生やフェード処理で強引に伸ばして入れ込みました。2日目にもリベンジしたのですがこれ以上のものが撮れませんでした。

十月桜、展望台スポットからの景色、両脇が木立ちの道(上の2枚)などなど、このときiPhoneで撮ったカットがわりと使われています。iphone撮り慣れてるし、色やピントの失敗もないし、全然悪くないですね(使用したのはiphone7)

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と、ここで誰かの視線を感じ目を向けてみると。鎌倉の友人家族が!ちょうど公園に着いたところだったみたいで、偶然の出会いに盛り上がりました。

偶然の出会いはこの後もうひとつあります(下のほうに書いています)。北鎌倉狭い!この日の僕は何か持っていたのか、なんてSNSにつぶやくくらいには興奮してました。

 

8.大船へ

北鎌倉に喫茶店や食事処はいくつかありますが、充電できるところはないと予想し大船まで出ました。駅前のファストフードへ。

余談になりますが、このすぐ裏の亀谷万年堂さんがつい先週火事になり、隣の観音食堂も含めて全焼してしまいました。観音食堂は昔ながらの味わい深い食堂で、地元民に愛されている名物的な食堂(大船に映画撮影所があったとき渥美清氏が訪れたり、アド街ック天国でも取り上げられたり)かなりショックです。

ニュースの映像を見ると「かんのん」という大きな看板は残ったみたいなので、それを掲げてまた復興してもらいたいですね。

アド街紹介記事】
【10位】観音食堂(鎌倉 大船) | 出没!アド街ック天国 | 鎌倉・逗子・葉山 | テレビ東京 旅グルメ


【火災時のニュース記事】

「観音食堂」と「亀屋万年堂」が火災で全焼 地元民は「非常に残念」と惜しむ声が(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

SNSの情報によると復興に前向きだそうで。よかった!復活したらまた訪れたいと思います。

9.午後の部は路地から~偶然の出会いその2

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話が逸れました....。
移動と充電とでだいぶ時間を食いまして14時はまわっていたかな。朝に後回しにした駅前の路地での撮影から再開。歩くシーンを撮影、三脚を立てて。演奏はともかく、こういう演技っぽいのは照れますね。しかも1人だし。

けど鎌倉のいいところは、観光地なので撮影をしていても変な目で見られないということですね。都会の住宅地とかでやってたらかなり目立つでしょうが。でも人が通るとちょっと挙動不審になって、やっぱりちょっと怪しかったかなあ(笑)

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とここで今日2度目の視線を感じました。声をかけてくれたのは、かつて僕が住んでいた家に現在住んでいる写真家・中山翔太さん。先日ブログに書いたので詳しくは割愛しますが、ずっとSNSだけの繋がりだったので、初めて会えて本当に感激しました。

運よく通りかかってくれて、僕もそこで撮影していて、その偶然に感謝です。

10.アップに乗り気なような乗り気でないようなf:id:zanzow:20220202092144p:plain

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再び源氏山へ向かい、演奏シーンの取りこぼし分を撮影。ここではアップめのカットを撮りました。

ルックスに自信があるわけではないし、年月とともに昔より客観視ができるようになってきたので(笑)おっさんのドアップなんていらないかなと思っていたのですが、撮ってみると歌詞とリンクして手応えのあるシーンになったんですよね。なので撮ることにしました。

前回のMV(「ぼくの愛する暮らし」)でもアップのシーンあるし、求められているかは別としてアップで撮っときたい気持ちはわりといつもあるのかな。

>>残像のブーケ「ぼくの愛する暮らし」 - YouTube


 *

なんやかやで夕方になり終了。1人ロケは以前もやったことはありましたが、そのときは風景がほとんどだったし、手作り風にiphoneトイカメラで撮ったので割とハードルは低く設定していました。

今回は思い入れも強かったし、想像以上に時間がかかりました。カメラの設定とか、演奏シーンの撮り方とか、前述のとおり失敗しているカットも多く...。バタバタでした。いやあ甘く見てましたね。。


11.追加撮影

翌日。仮で編集を始めてみると失敗云々もそうですが、そもそも撮れ高が不足してました。それで某所で追加撮影を。あと自宅でも少し撮りました。


別の場所とわからないように編集していますが実はこの日のカットもいくつか使っています。

f:id:zanzow:20220202092303j:plainこれは源氏山ですが──

f:id:zanzow:20220202092314j:plainこちらは自宅(!)

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山を歩いてる系のシーンもこの日いくつか撮影。スマホの自撮りも苦手なのにデジカメ(ミラーレス)だったので構図はかなり運まかせでした笑


12.再訪、リベンジ

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というわけで、失敗ぎみのカットが多数ありどうしようか悩みつつ2週間ほど経過。その間は編集もしたり、他に忙しく止まってたり。でもまあ、騙し騙し編集してなんとか形にするよりは、その労力が無駄に思えて、もういっそ撮り直そうと。それで再訪を決めたのでした。

2日目はそんなわけで新しいことをするというよりは基本的に脚本は同じで、1日目と同じ時間に着くようにし、同じシーンを撮り直していくという方法を取りました。

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2週間ぶりの北鎌倉。すっかり紅葉の季節でした。普段だったら嬉しいのですが、今回はどちらかというと冬~春の歌なので紅葉を避けての撮影となりました。

観光客もたくさんいたので撮影はけっこう苦労しましたね。なので撮り直しに行ったはいいが結局1日目のほうを使ったシーンもいくつかありました。(いい感じで人が歩いてくれてたりとか、1日目のほうが奇跡が多かった)

 

13.色味に気を付けるべし

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路地のシーンは1日目・2日目両方使っています。

1日目の反省として、オートフォーカスの設定ミスによる誤作動もありましたが、もう1つは色が薄かったこと。露出オーバーだったんですね。それに気を付けてなるべく色が濃くなるように気を付けて撮っていきました。

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演奏シーンもけっこう撮り直しました。そもそも演奏シーンはたくさん撮るものですが、1日目のものがほとんど失敗だったのでさらに多めに撮るようにしました。

2日目もデジカメに加え、iPhoneも併用。1日目はデジカメのバッテリーが切れたあとに切り替えましたが、2日目はデジカメとiphone同時回しもしました。

f:id:zanzow:20220202092721j:plainiphoneのほうが失敗はしないけどやはりちょっとのっぺりしてるかな。たまたまですかね? これはまだiphone7なので、今はまた進化してると思います。

f:id:zanzow:20220202092804j:plainアップのシーンも追加しました。10枚上の写真と同じ場所で(両方採用しています)。編集時に調整もしましたが比べてみると背景の色味がちょっと違います。

14.懐かしの家にお招きいただきました

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これもブログに書いたので割愛しますが、2週間前に偶然会えた中山さんに軽い気持ちで連絡を取ったら、なんとおうちにお招き頂きました。アポなしすみません!かつて自分が住んでいた家を訪れるというのは不思議なものです。いい時間だったなあ。

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15.今回の教訓

以下はSNS投稿からの転記ですが、今回の教訓をまとめておきます(自分のために)苦笑

・カメラの機能を勉強してから使う。
・勉強不足ならオートで使う。
・撮ったらその場でちゃんと確認する。
・構図とタイミングだけじゃなくてピントと色味、明るさも確認する。(露出、絞り、測光方式...)
・バッテリーは充分に用意する
・使いやすい三脚を買う (デコボコでも水平が取れるもの)

どれもビギナーレベルのことですね...。スマホでは日常的に写真撮るし、なんならフィルムの一眼も昔にはやってたけど、いやはやお恥ずかしい限り...。なかなかうまくいかないもんですね。

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MVには使っていませんが夕焼けの富士山、綺麗でした。

でも今回学んだので次はもっと良いものができるはず!

今後DIYメインでいこうとは思っていませんが、1人でできることが増えていき、かつクオリティーを上げていけるのであれば、フットワークよく、弾数(たまかず)も増やしていけるはずなので。

そしたらその分ファンの方には喜んでもらえるし、それ以外の人にもアピールできる機会が増えていくのかなと。

ていうか撮ってくれる人は何人かいるんだから頼めよって話ですよね。(諸氏すみません) 冒頭にも書きましたが予算とスケジュールが合致したときはどんどんお願いしていこうと思っています。

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昼食&充電で滞在したWendy'sのキャラクターが、三つ編みを無視すると榊原郁恵さんに見えて仕方がないとSNSに投稿したら、かなり共感の声をもらいました(笑)公式さんにもリツイートしていただいたり。

というわけで長くなりましたがMV撮影奮闘記でした。初めて作るわけでもないし、もっとさらっと出来る予定でしたが(苦笑)ほんとドタバタすぎでした。歌を作った本人にしか作れないものは出来たんではないかと。(そんな感想もいくつか頂きました)

頑張ったから見てくれ、というのは通用しない世界ではありますが、ぜひ観てもらえたら嬉しいです。こうして完成したMVがこちらです↓  バタバタしてたんだな~と想像しながら観ていただくとまた見え方が違う...かも?

youtu.be

#北鎌倉 #鎌倉梶原 #源氏山 #富士山 #夕暮れ #夕焼け #夕焼けと富士山 #夕富士


 

information 


大森元気(ex残像カフェ/花と路地)は「残像のブーケ」というソロプロジェクト名で2020年心機一転始動しました。

【News / Release】
◆残像のブーケ アルバム先行第3弾デジタルシングル
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「旅するように歌うのだ」2021.12.21 デジタルリリース
各配信会社へ飛べるリンクページ
youtube版試聴(MV予告編)も公開になりました。


◆20.12.21 アルバム先行 第2弾「boys&girls」期間限定デジタルリリース
Trailer映像▶こちら / 各サブスクへのリンクページ▶こちら

20.6.12 残像のブーケ初リリース曲「ぼくの愛する暮らし」参加コンピリリース
・MV▶ こちら  
/ 各サブスクへのリンクページ▶こちら
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Youtubeチャンネルにて自宅で歌うセルフカバーシリーズ公開中。弾き語りシリーズ不定期更新中。
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【Live】
決まり次第お知らせします

【OtherWorks】
・2021年11月発売、RISA COOPERこと岡田梨沙のソロアルバムに1曲楽曲提供しました→特設ページ / 全曲Teaser動画
あがた森魚 2013年以降の複数アルバムにコーラスで参加しています。またライブも不定期でサポート参加中(コーラス、アコギ、エレキギター
・2019年公開よりロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。
・「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。