日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

さよなら三鷹跨線橋

本当は晴れた日に行きたかった....。けどもうタイミングないので最後に。

(※SNS投稿は12/5で、実際に訪れたのはそれよりも少し前のこと。跨線橋はすでに12/10いっぱいで通行禁止になっています)

三鷹から武蔵境寄りに少し行ったところにある人道跨線橋(じんどうこせんきょう)。100年近い歴史に幕を閉じることになりました。昔近くに住んでいた僕にも思い出深い場所です。

思い出という言葉では収まらないほど大きな存在だったなと。それはこの文章の長さと自分語りの様からも感じ取れると思います。乱文失礼。

太宰も愛した跨線橋、ということも歴史的価値を高めているかも知れないけれど、それ以上に何と言ってもここは地域の人達の憩いの場所でした。

たくさんの線路。(大昔に暴走事故が起きた場所ということも忘れてはいけないけれども)、東から西から電車が行き来するのを上から眺めることができる。天気がよければ富士山も見えるし、夕焼けスポットでもある。

(目の前にでかいマンションができたときちょっとモヤッた)。大人もだけど特に子どもは大好きな場所だよね。

ただの通行のためならば地下道もあるから不便はないのだけど、それを越えた意味がここにはあった。でも現在の建築基準を満たしていないとのことでやむなしか、、、。(補強とかじゃダメだったのかなー。お金かかるしね、、)

僕がこの日撮った写真を下にもいろいろと載せますが、先にこちらをご紹介。小川紗良さん( @iam_ogawasara )のリール(インスタ内)に夕暮れ時から夜にかけてのこの場所の映像が投稿されています。

僕が最後に撮れなかった晴れの日や夕焼けの跨線橋が収められています。本当に素敵な映像で、ぼくは今回最後に夕焼けに出会えなかったけれど、この映像のお陰で気が済んだというか、救われた気がしました。またここに来たくなったらその映像を観ればいい、そんな映像作品。


自分の写真&テキストに戻ります。
ここに昔設置されてた時計はすでになかった。あれ夜には光ってたよね。

よく覚えてるのは毎年夏にたったひとりでオールするっていうのを20代の頃何年か連続でやっていて。

井の頭公園で歌って、ファミレスで歌詞を書く。そして明け方に歩いて帰る。その途中にあったのがこの跨線橋で、暗闇から明るくなり始める空と、この跨線橋の時計の光景が今も鮮やかに心に残っている。

 

残像カフェ時代に「グラフィティー」という歌を書いたときもそうだった。(それはオールのときに書いたかまでは忘れたけど)、悩み多い季節のあとだからこそ出会える眩しい朝。そんな歌を書いたがタイトルがなかなか浮かばなくてこの跨線橋での朝の空を見たり、思い出したりしてヒントにしようとしていた。

結局「グラフィティー」という、眩しさと関係ないタイトルになったのだけどここから見た明け方の空は今もずっと鮮やかなまま。

明け方の思い出ばかりではない。さっき書いたようにここは夕焼けスポット。夕暮れや夜の思い出も多い。

たっぷり時間のあった20代にはバイトが終わると(もしくはないときは)毎日のように街を彷徨い曲か詞を書いていた。もしくは書こうとして何も収穫がなくて空しさをやり過ごした。うろついた街はだいたい最寄駅か、吉祥寺か、下北沢あたり。

吉祥寺に行くときにはだいたい歩きで、この跨線橋を渡っていった。誰のライブもないときは夕暮れ時を帰った。そのときにここで一休みした。

ぼくが20代に書いた「地球は回る」という歌のサーモンピンクのスクリーンという歌詞や、「冬空エレジー」で書いた東京の夕暮れのこと、そして30代に(そのときはもうこの街にはいなかったけれど)音楽も仕事もうまくいかなくなりそうなときに苦悩とともに書いた「日曜日月曜日」での風景など、何曲かの歌はここの夕暮れの風景から生まれた歌なんです。


よく何分も腰かけて思いを馳せていた場所から。僕がよく訪れていた頃に建ったマンションはもっと前はなくてより開けた景色を見ることができた。晴れていれば富士山も。

いま以上にちゃらんぽらんで刹那にそして楽観的に生きていたあの頃の僕だったけれど、同じくらいいつも悩んでいた気がする(矛盾するようだけど)。

僕にとってここは1人 自分と向き合ったり、想いを馳せたりする場所でした。写真の場所で何十分も座ってぼんやりしてたものです。「日曜日月曜日」の歌詞そのままに。

ビールも飲んだことはあったけどだいたいコーヒー。そうそう三鷹までの終電が1時過ぎまであってそこから歩いて帰ったものだ。缶コーヒーを途中で買ってここで飲んだ。

なのでここで飲み明かすとかはなかっけれども一番やばかったときは1〜2度、夜中にウイスキーをストレートで小瓶のまま飲んだ夜があった。あの時は何に悩んでいたのだろう。

武蔵野を離れたのは自分の意思だし、そのあと鎌倉や今の街に移ったのも流れのままに。けれどどの街に越してもこの場所が大事な場所であるということに変わりはない。それは輝きも恥ずかしさもある若い自分をそのまま閉じ込めたような種類のものだ。

一部保存って言われているけどどれだけ残るだろうか。いずれにしても通れるのは今週までで(※投稿当時/すでに閉鎖)、僕はこの日が最後。寂しくて仕方ないけど、僕も前を向きます。今はただただありがとうを。。
 
  *

文章でも触れた「日曜日月曜日」という曲を貼っておきます。もっとフォークロックなバンドバージョンはREC中にバンド(花と路地)が休止となり、アレンジを変えてソロ名義で出したバージョン。

youtu.be

「日曜日月曜日」  作詞・作曲 大森元気

いつかのように街は染まる
日曜日月曜日
おだやかな休日が終わるように
僕もすぐに暮れてしまうのかな

明日のことから目をそむけ
ぼんやりと風のなかにいた
甘いだけの缶コーヒーの味
腰かけた澱む街

あの子の真っ赤な涙目や
強がりや 作り笑いが
映画のように浮かびます
日暮れのメロディー流れます

あぁいっそ痛みもなく
夕暮れの光みたいに透けてしまえたら

忘れたことばかり思い出す
忘れないことが多すぎる

夜にまぎれてしまえばいい?
酒をのみつぶやいて
そんなやり方も空しくて
忍び寄る 闇を知っている

犬の散歩の女の子
角を曲がるまで眺めてた
それぞれに悩みや 弱さや ずるさを
みんなかかえて生きているのかな

あぁじっとここにいるだけで
明日が話しかけてくる 過去がのしかかる

わからない わからない わからない
今の自分がわからない

あぁいっそすべて諦めて
もうじき訪れる闇にとけてしまえたら

嘘だよ 嘘だよ まだ消えないよ
君の笑顔が浮かんだよ

もうすぐ君に会えるから
行かなくちゃ もう行かなくちゃ
鳩のフンで汚れたこの道みたいだな
僕の道 それでも歩きます

(大森元気/花と路地「日曜日月曜日」)



#三鷹跨線橋 #三鷹跨線人道橋 #残像カフェ #大森元気

 

 

 

Information 


【Live Schedule】
■決まり次第お知らせします。
■パンと音楽とアンティーク2023 
ご来場の皆様ありがとうございました。セルフレポ(写真多数)公開しました。動画も後日アップ予定。
 

【News / Release】
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各配信ストア
構想中のアルバムから先行Sg配信リリースしました

■「残像のブーケ」1stアルバム 2023.4.12全国発売
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2022年春にオンラインショップ・ライブ会場・配信のみでリリースした1stアルバムが遂に全国流通開始。
〔CD〕
 全国主要レコード店 および OURLIFE MUSIC WebShopにて購入可
〔配信〕
 各配信ストア一覧ページ→こちら

<全曲ダイジェスト>youtubeに公開中→こちら 
その他ティザー動画(×6)あり

■2022夏2か月連続デジタルリリース「ナツノユメ」

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■2022夏2か月連続デジタルリリース「夏の星座」残像カフェ楽曲のリメイク)
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【OtherWorks】
■楽曲提供
2021年11月発売、RISA COOPERこと岡田梨沙のソロアルバムに1曲楽曲提供しました→特設ページ / 全曲Teaser動画

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■コーラス他で参加
あがた森魚 2013年~2021年多数のアルバムにChoで参加しています。またライブも不定期でサポート参加中(Cho,AG,EG)

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■映画音楽
「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。(同監督とは過去2作品でも提供しています)