日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

残像カフェ初期作品集ライナーノーツと22年前のエピソードあれこれ(前編)

残像カフェ初期作品集、皆さんに聴いてもらえてるようで何よりです。意外だったのは当時短期間しか販売してなかったはずなのにファンの方は持ってる人が結構いたりして。嬉しすぎる誤算です。

さてさて。
配信の登録をするときにアルバムの説明文とともに、曲ごとの説明文も登録するんです。(日本語と英語で書くのでいつも苦労します...)。ただ、曲ごとの説明ってどこで見れるかよくわかってなくて、多分ほとんどの人が見ないんじゃないかと。

そこでせっかく書いたのでここに掲載してみようと思います。で、せっかくついでに登録した説明文に加えて、ブログ用にさらに加筆してみました。また喋りすぎてるかな...。

興味ある方は読んでみてください。曲を知っている人なら楽しんで読めるかと思います~。

1.センチメンタルの頃

自主制作盤『素敵日和』(2002年初頭発売)1曲目に収録。デビュー前後のこの時期、はっぴいえんどなどの1970年代邦ロックへのリスペクトを込めて「ですます調」のスタイルで書かれるものが多かった。

結成当初の残像カフェはスローテンポの重いグルーヴの曲が多かったが、この曲をきっかけにバンドにさわやかな風が吹き、その後のバンドのイメージを決めていくこととなった。新録Verが公式盤『素敵日和』(2002年)とベスト盤(2007年)に収められ、いずれもアルバム1曲目を飾っている。

<ブログ追記>
この曲は誰かが言ってたけど、ベースのフレーズが凄いですよやっぱり。ドッテテ ドッテテってオクターブで、これ80年代に入ってからの細野さんみたいな、テクノポップ的なアプローチに近いんじゃないでしょうか。それをこの曲にもってきた大友君のセンス!
 
ちなみに「るんです~」って各Aメロの終わりのフレーズは小坂忠さんの「はずかしそうに」の影響が多分に入ってますね。はっぴいえんどの何度目かの再評価ブームの中、小坂忠さんとかもよく聴いていました。あとイントロのオルガンは図らずもディランLike a rolling stoneですがこれはあんまり意識してなくて後で気づいた感じでした。

公式盤と比べて全体的に声張って歌ってます。というかこれが普通で公式盤のほうがなぜか丁寧に歌いすぎて冒頭小声(サビは張ってるけど)。ちゃんとしたスタジオでのレコーディングが初めての経験だったから、ヘッドホンの設定とか歌う音量とかよくわかってなかったのかも知れません(もしくは音程に気を遣いすぎたか?)そんなこともあって、こっちの自主盤Verのほうが個人的には気に入っています、どちらもいいですけど。

2.素敵日和

自主制作盤『素敵日和』(2002年初頭発売)に収録。3人でハモるサビが楽しげなカントリーナンバー。当初大森は個人的な趣味であるカントリーやフォークの要素をバンドに持ち込むことに多少の迷いがあったが、バンドマジックによる化学変化も手伝ってすぐにバンドのカラーとなった。

新録Verが公式盤『素敵日和』(2002)に収録されたほか、ライブテイクがライブコンピレーション『新宿ミーティング02』(2002)に収録された。

<ブログ追記>
公式盤・自主盤どちらも好きですが、センチ~同様自主盤のほうがはつらつとしてる感じで好きです。(詳しい言及は避けますが公式盤は1箇所ミックス時のエラーもあったりでそれもあり尚更自主盤ver、好きですね)。

バンジョーはこの曲のために買いました。ギターソロ→バンジョーソロは公式盤と似てますが微妙にフレーズが違っててその比較も楽しいです。自主盤Verでは手癖というか、曖昧な音やタイミングが微妙なことがあるんですけど、今聴き返すとそこがよかったりして。

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3.さみだれ

自主制作盤さみだれ』(2001年12月発売)表題曲。残像カフェ初期の代表曲だったが、レーベルの意向もあり公式デビューアルバムのセッションでは取り上げられなかった。その後も公式にはレコーディングされていない。敬愛するはっぴいえんどへのオマージュ色が強いことも理由のひとつだったかも知れない。

のちに大森が全楽器を演奏する形でセルフカバーした新アレンジVerがライブ会場&通販限定で発売された(2008年発売/現在は生産終了)。
※当時のミックスに起因するノイズが入っていますがご了承ください。

<ブログ追記>
自主制作につき、当時の設定をミスっていてボーカルがクリップしてます、すみません(録音時かミックス時かは不明)。

上でも書いてますけどまんまはっぴいえんど「抱きしめたい」ですね。でも今思うとちょっとくるり「街」も入ってる気もします。

声の出し方がいまと違いますね。特に「え段」。残像を組む前、上京して20代前半はずいぶん歌い方を模索していた時期がありました。残像の前のバンド時にこの歌い方をしてみるようになって(それより前はもっと素直でしたが)その名残が残っています。ロックサイドの大瀧詠一氏が大好きで、似てはいないけどその影響があったと思います。

当時は普通に聴いてましたがイントロの澤田君のドラムのパターンの合間に挿入される「ドドド」っていうタムがカッコいい。松本隆さんを意識してたのかどうかは分かりませんがどっしりしてるパターンに唐突にどどど!と。それからサビのカップ(シンバルの中心部のカンカンした音)はアイデアですねぇ。

そうそう澤田君といえばギターソロ直前の静かなところのグロッケンの音はエレドラにサンプリングしたもの(プリセットで音程だけ変えられるやつかな?)で、ライブもRECも澤田君が演奏してました。

 

4.きみのいる春の景色

自主制作盤さみだれ』(2001年12月発売)に収録のスローナンバー。春のうららかな光の中、まどろみそうな穏やかなひとときを描くも、後半はサイケデリックなブロックが挿入され、逃避している現実やまた来る冬のことを示唆する。

初期の代表曲の1つであり公式デビュー盤に収録する予定で録音もされたが、メンバーの意向で収録が見送られた経緯がある。ここで聴ける自主制作Verを越えられなかったというのが理由だったはずだ。それからおよそ3年後、オリジナルメンバー期最後の作品となった『あたらしい日々』(2005年)に新録Verが収録された。
※当時のミックスに起因するノイズが入っていますがご了承ください。

<ブログ追記>
上で書いたとおり、公式盤1stのために録音したけど入れるのをやめたというエピソードがあります。

記憶をたぐってみると、Dメロのサイケな部分をツインドラムにした記憶がありますね。それ自体はかっこよかったのですが、ボーカルの処理? あえて歪ませてるところを自主盤ではMTRに入ってたエフェクター(リングモジュレーター)で加工していて。それがどうしても再現できない。別のアプローチを試しても自主盤のほうがかっこよく思えて。

さらにイントロのエレキギターの2本のうち1本を録り忘れてたことに気づいて。今だったら別の部分からコピペとかして対応するところなんですが(世間でも普通のことです)それが当時はズルっぽくて許せなかったのでしょう。でたぶん時間切れだったのかな。そんなことが重なって、もう収録自体をやめようと。僕が言ったのか、メンバーの総意だったのかは忘れました。

その3年後、4枚目の『あたらしい日々』に改めて新録で収録されたことは上でも書いたとおり。オリジナルメンバー最後の作品に間に合ってよかったです。1st用のお蔵バージョンは僕の手元には残っていない。

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5.渋谷ゆき

M4と同じキーのワルツナンバーで、歌詞の内容も春のうららかな情景という点で共通している。世田谷の地名が登場するが、むしろ隣の杉並区をイメージして描かれた。しかし語感がよいため世田谷のまま変更せず歌われている。

公式にはレコーディングされなかった楽曲でこの自主制作テイクは2002年インストアライブ参加特典として配布されたほか、音楽雑誌に付録として封入されたCDにも収録された。また、のちに大森が全楽器を演奏する形でセルフカバーした新アレンジVerがライブ会場&通販限定で発売された(2010年/現在は生産終了)。


<ブログ追記>
今回はすでにあるミックスをそのまま使い、全体的な補正だけをアダチヨウスケ君にやってもらいました(個々のデータが残っていないためそれしか不可能でした)。そのため「全体的に低音を上げる」とかはできるけれども「歌だけ下げる」とかはできない、そういう種類の作業です。

なので「きみのいる~」とか「あかず~」とかは、バンドに対してボーカルの音量がやや大きめですね。この曲なんかは前半ずっと小さくて、途中からかなり大きくなる。当時はあえてそう歌いたくてこうしたのだけど、音源としては聴きづらいと今なら分かりますね。まあそれも若さということで。

この曲はレコーディングした中では残像カフェで一番古い曲なんです。結成の1か月前くらいに作って、メンバー募集中にいろんな人とスタジオに入ってこの曲をやってもらったりした思い出があります。(前身バンドの解散から残像の初ライブまで1ヶ月しかなかったので大忙しでした)

デモを送っていた曲とは別に、あえて抜き打ちでこの曲を。その場でコード譜だけ見せて。そしたら大友君は初めて合わせたその日にベースだけじゃなくハモリまでやってくれたんですね。ほかにも理由はありましたがこの人に決めようと思った1つの理由にもなりました。後日彼自身言ってましたが、ハモれることもアピールしようと最初から思ってたそうです。


後編に続きます

後日追記と訂正

後から気づいてしまったのですが....。自主制作盤の1stのタイトルを『さみだれ』とがっつり書いてしまっていますが、ジャケットには『残像カフェ』としか書いてなくて。僕が長年の通称として『さみだれ』と呼んでいただけかも知れません。。配信会社へ提出した曲説明文はあとから変えられないそうなので、せめてこの欄でだけでも訂正とお詫びさせていただきます。すみません!

 

 

Information 


【Live Schedule】
◉2023.4.16(sun)
祖師ヶ谷大蔵 カフェムリウイ
残像のブーケpresents 1stアルバム『残像のブーケ』全国発売(& more)リリースパーティー
出演:残像のブーケ(大森元気弾き語り+アコースティックバンド編成)、SPIRO(quiet set)、平松稜大、ソフテロ
>>詳細はスケジュールページにて

【News / Release】
◆「残像のブーケ」1stアルバム 2023.4.12全国発売決定
f:id:zanzow:20220315190107p:plain
2022年春にオンラインショップ・ライブ会場・配信のみでリリースした1stアルバムが遂に全国流通決定です!必ず入荷するとは限らないためお問い合わせ・ご予約をおすすめします。
<全曲ダイジェスト>youtubeに公開中→こちら 
その他ティザー動画(×6)あり
CD 紙ジャケ仕様、歌詞&セルフライナーノーツ付
 OURLIFE MUSIC WebShopにて購入可
配信 各配信ストア一覧ページ→こちら

◆旧譜(ソロベスト盤)「メランコリーOOMORI GENKI 2009-2018 BEST」2022/11/2配信解禁

配信ストア一覧

◆2か月連続デジタルリリース決定 第2弾「ナツノユメ」2022/9/22解禁

 配信ストア一覧
◆2か月連続デジタルリリース決定 第1弾は2022/8/24解禁、残像カフェのセルフカバー「夏の星座」
 配信ストア一覧

【OtherWorks】
●2021年11月発売、RISA COOPERこと岡田梨沙のソロアルバムに1曲楽曲提供しました→特設ページ / 全曲Teaser動画

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あがた森魚 2013年~2021年多数のアルバムにChoで参加しています。またライブも不定期でサポート参加中(Cho,AG,EG)

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●2019年公開よりロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。

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