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残像カフェの初セルフカバー、未発表だった理由は?!
さて8/24無事配信スタートしました「夏の星座2022」。
リリース情報にも書いているとおり、もともと2004年頃、残像カフェの(オリジナルメンバー時代)ライブで演奏していた曲です。ライブや動画シリーズを除けば残像カフェのセルフカバーって今回が初めてになりますね。
当時メンバーも気に入っていたし、人気もあったような気がするんですがなんで録らなかったんだろう。不思議です。
オリジナルメンバー最後の作品である『あたらしい日々』(6曲入ミニアルバム)を録ったのが多分2004年の秋か冬。同じ年の夏にはすでにライブで披露していたのであのミニアルバムに入れることは可能だったはず。良いイントロが決まらなくて暫定版でやっていたのでそのせいか、もしくは僕のわがままでミニアルバムを春の歌で揃えたかったのかな。うーん、そっちな気がしますね....。
印象に残っているライブと転調について
オリジナルメンバー時代で印象に残っているのは2004年10月、鹿児島の野外ライブで演奏したこと。広大な山の上の特設ステージでめちゃくちゃ気持ちよかったです。そして会場は夕暮れから本物の星空になっていったのでした。終演後照明を落としたら明かりが1つもなくて、満天の星空に天の川まで見えて、本当に素敵なライブでした。
もう1つは2004年8月8日の渋谷O-Nest。ひょっとしたらその日が初披露だったのかも知れません。対バンだったRUNT STARのメンバー(高津さんか坂さんだったと思うのですが)に「いい曲だね」って言ってもらえたのを何故かすごく覚えてます。ちょっとラントっぽい曲調だなあと思いながら演奏してたので印象に残ってるのかな。
Gのキーから、BメロあたまでB♭に転調(コードはE♭)。Bメロ終わりでD7を架け橋にGに戻る。まあよく使われる転調の方法ですが当時はちょっとJ-POPぽいかなあと思っていてそれまでの残像カフェではほとんど使っていない手法でした。(逆に高校時代とかはよく使ってた)
メジャーセブンス多用、曲調もちょっとソウルミュージックを意識したりで、それまでのバンドのカラーに新しい色を...と言ったら大袈裟かも知れないけれどとにかくそんな楽曲でした。
松木俊郎グループとファンキーなアレンジ
2004年頃のライブでと書きましたが、その後メンバーが抜けてソロユニット化した2007年にも何度か演奏していたことがあります。
その時期は数パターンのバンド編成を同時進行させていた頃。バンド"ウイリアム”や"モノノフルーツ”などとコラボしたり、そのメンツの中から3ピースをやったり、残像カフェでない名前で別バンドもやったり。
そんな中「夏の星座」を演奏していたのは b:松木俊郎、Ds:萩原拓、Key:かちむつみ、Gt:鈴木健太という凄腕揃い、僕はアコギのみでエレキは弾かず椅子に座って演奏。ジェームス・テイラー&セクションにヒントを得た、少し大人っぽくてかつファンキーな演奏をするメンツでした。勝手に“残像カフェ&松木俊郎グループ”と名づけたのは僕です(便宜上以下「松木G」とします)。
今回の2022年版はひとり宅録で、一応バンド演奏をイメージしています(ドラムは打ち込み)。何を下敷きにしたとかはないんですけど、どちらかというと松木G寄りのアレンジになっていますね。どちらかと言えばというレベルですけど。
今回のリズムパターンとスチールパン
Aメロはベースとバスドラムが空白を生かしながらシンクロしてグルーヴを出していくファンキーなリズムパターン。これはJT的というよりも(元ネタは不勉強で知らないんですが)1970年代中~後半の洋楽で流行したリズム。僕はそれらを取り入れた日本のアーティストから学んだので本家を知らないのですが(苦笑)春の1stアルバムに収録の「涙が出ちゃうよ」にも同様のリズムを採用しています。
Bメロとサビはちょっとだけサンバ調。ストイックなAメロから一気に解放される感じですね。ミックスで小さくしちゃいましたがアゴゴ(♪キンキンコン~)やクイーカ(♪ウフッホホ)の音色なんかも入っています。
そして今回初導入したスチールパン!何故入れたか?自分でもわからないんですけど、夏っぽいなと試しに弾いたらハマって、その後一旦冷静になってミュートしたんですけど寂しかったので必要だと判断しました。残念ながら本物のスチールパンではなくて、鍵盤で弾いたあと編集でなんとか形にしています。本物の奏法と違う!とか言わないで!
イントロの多重コーラスと2008年”zanzowcafe extra”のこと
イントロの多重コーラスも印象的でしょうか。山下達郎的?と言ってくださった方もいました(恐れ多いですが)
これ、実は2008年の実験的アルバム”zanzowcafe extra”(以下「extra」)収録時のアイデアだったと記憶しています。「夏の星座」はそのアルバムで一度世に出ていますが、daisuke mizushima氏(fr. kimono my house)とのコラボアルバムだったため、アレンジも歌詞も大胆に料理されていて、そのイントロはまったく違う形となってリリースされたという経緯があります。
記憶では制作途中に送られてきたバージョンでは多重コーラスのイントロは生きていて、めちゃくちゃかっこよく強調されたアレンジになっていたのです。しかし彼としてはちょっと王道すぎたのでしょうか、制作が進むうちに全く別のイントロに変わっていったようです。
あのアルバムでは僕が作曲するときいつもこだわっているコード進行とか、歌詞の起承転結とかそういうのを全部取り払って、言うなれば単なる「素材」としてmizushima君に提供し彼の思うまま料理してもらいました。しかも双方 (&レーベル) で取り決めをして、完成まで連絡しない、打ち合わせしない、希望も伝えない、というストイックな作り方をしたんですね。
なので当然僕の範疇を越えたアレンジやサウンドになることは分かっていましたが、コード感(メロの音程はそのままでキーを変えている曲もあり、その場合相対的にメロディーが違うものに聴こえるんですね。ドレミがファソラに聴こえる的な。これには驚きました)、それに歌詞がカットされた曲もいくつかあって。
それってリミックスなら普通のことなので覚悟しておけばよかったですが、予想しきれてなくて完成してから愕然としました。(そのため歌詞が削られた曲に関しては僕の希望であえて歌詞カードに歌詞を掲載しませんでした)
いつかセルフカバーをと思っていた
もちろんそういう予想外のことも楽しめたというか、今でも聴き返すたび毎回発見があり、鬼才mizushima君の手腕には唸らされます。あのタイミングでは実験作を作るべきだったと思うし(レーベルやメーカーとの関係がそういう時期でした)。
なのでいろいろ料理されて嫌だったとかではないんですけど、僕がもう少し頑張れていればすぐあとに元祖アレンジでリリースして”種明かし”をするみたいに聴き比べてもらうことも出来たのかなあと考えることはあります。実際にはあのあとベスト盤が出てレーベルとの契約は終了してしまいました。
さらに言うと、僕は長いあいだ「著作権」(作詞作曲に対する権利)と「原盤権」(録音物・製作費に関する権利)をごっちゃに認識していたので。作詞作曲が自分だったら録り直せばセルフカバーしても問題なかったのです。でもなんかそれがダメだって勘違いしていたところがあって。それで14年が経過してしまいました。
蛇足になりますがあのアルバムに収録した曲の中には、のちのちセルフカバーするとき区別化できるよう、あえてタイトルを変えた曲もいくつかありました。「timemachine」はもともと「海岸」、「july」は「7月、夕立」という曲でした。実際その2曲は本来のタイトルに戻してこっそりソロアルバムに入れた経緯があるんですが、こそこそすることなんてなかったんですね苦笑。
そうなれば、いつかextraの曲、全曲セルフカバーってのも面白いかもなぁ。
完全版の歌詞は初のリリース、宮沢賢治の世界
そういうわけでこの「夏の星座」もextra版では、2A・2Bがまるごとカットされました。なので今回のリリースが完全版の歌詞“初リリース”ということになります。2番の歌詞、好きだったので「やっと!」そして「やった!」という気分です。
ただですね、完全版にしたことで6分半越えの長さに...(普通は4分半~5分が相場)。mizushima君が大胆にカットした気持ちはよくわかりましたね。
歌詞の世界観は、なんとなくのイメージ、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を思い浮かべながら書いてみました。物語が動き出す、ジョバンニが列車に乗ってからの世界ではなく、乗る前、ひとりぼっちで丘の上に登っていく景色。
でもまあそれだけであんまりストーリーとは関係ないです。草の匂い、夜つゆ。そこで座っていて、落ち込んでいたけどちょっと前向きになるっていうのは僕の創作です。
というわけでいろいろエピソードを語れるだけ語ってみました。
「♪もうぼくはだいじょうぶさ」
多分ぼくはだいじょうぶさ」
この締めの2行はなんというか、若さゆえだなあと。全然大丈夫じゃなさそう...。
でも、そう思えることが大事って言う歌ですよ。「♪そう思って突然動くはずもないけど」と最初に釘も打ってある。笑
***
ともあれ聴いてもらえたら嬉しいです。
先日も書きましたが、どうしても1stアルバムがあまりに春っぽかったので夏の気分で聴くものがないと。そのニーズ(がどれだけあるか分かりませんが)に応えるべく、そして自己満足かも知れませんが8月のうちになんとか間に合わせました。
1stアルバムには少なかった、ちょっとシティまでいかないけれども、サウンド的にもちょっとモードの変化を感じ取ってもらえたらと。(リズムについては上のほうで書きましたが、ギターとか鍵盤とかもいろいろと挑戦しました)
そして来月にはもう1曲、そちらは完全な新曲になりますので、そちらもお楽しみに。
Information
【News / Release】
◆2か月連続デジタルリリース決定 第1弾は8/24解禁、残像カフェのセルフカバー「夏の星座」
「夏の星座2022」
配信限定 8/24解禁、配信ストア一覧
◆「残像のブーケ」1stアルバム好評発売&配信中
全12曲入、CD+配信
◉CD 2022.3.30 先行発売
紙ジャケ仕様、歌詞&セルフライナーノーツ付
OURLIFE MUSIC WebShopにて購入可
◉配信 2022.4.19 解禁
各配信ストア一覧ページ→こちら
<全曲ダイジェスト>youtubeに公開中→こちら その他ティザー動画(4曲/5バージョン)もあり
◆過去作品『君の街 僕の街』
配信解禁 & 収録曲から新たに「イツカノハル」リリックビデオ公開
・「イツカノハル」リリックビデオ▶︎こちら
・『君の街 僕の街』サブスク各社リンク一覧▶︎こちら
【Live Schedule】>>スケジュールページ
●9/10(土)-11(日)
『パンと音楽とアンティーク』(オーヴァル京王閣)。
パン屋60店・雑貨/アンティーク店70店・ライブ(40組)が参加。東京蚤の市でおなじみオーヴァル京王閣(競輪場)で2日間開催されます。残像のブーケは9/10の野外ステージにアコースティック編成で出演
●9/23(金祝)
WikikiRecords23周年パーティー(渋谷Spotify O-nest)
出演:ELEKIBASS×残像のブーケ
【OtherWorks】
●2021年11月発売、RISA COOPERこと岡田梨沙のソロアルバムに1曲楽曲提供しました→特設ページ / 全曲Teaser動画
●あがた森魚 2013年~2021年複数アルバムにChoで参加しています。またライブも不定期でサポート参加中(Cho,AG,EG)
●2019年公開よりロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。
●「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。(同監督とは過去2作品でも提供しています)