日々の残像VI〜音楽と暮らし〜

残像のブーケ/大森元気のブログ - since April 2019

変わりゆく下北沢と南風のこと【動画シリーズ5月(3)】

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◾️「この街へようこそ!」南風セルフカバー

近年駅舎が一新され、小田急線が地下化した下北沢。今から遡ること16年前、2005年頃には開発可否をめぐる問題で揺れていました。

計画自体は昭和21年からあったそうですが、広い道路を通し、踏切を撤去、線路の地下化、それに伴いいくつかの地区では立ち退きが必要になるという計画がいよいよ実行段階に入るタイミングでした。(道路はまだ先)

音楽や演劇のまち下北沢。工事が計画通り行われれば街の雰囲気が変わり、文化を育んできた魅力や独自性が失われてしまうのではないか?と心配する声があがりました。「SAVE THE 下北沢」といった反対運動が起こったりして著名なアーティスト達も賛同していました。

そんな動きに呼応するように──かつ政治的な反対運動とは切り離した形で「The Sound of Shimokitazawa」(「SOS+」)というシリーズの音源が次々にリリースされました。 コンピレーションではなく1アイテムにつき1アーティストが2〜3曲を収録。曽我部恵一氏やワタナベイビー氏、銀杏BOYS峯田氏による敏感少年隊など錚々たる面々が参加しました。

記憶が定かではありませんがその第3弾くらい?に白羽の矢が立ったのが、当時僕が残像カフェと並行して活動していた「南風(みなみかぜ)」でした。

 *

もともと僕の弾き語りに萩原キョーコ氏(アコーディオン)を迎えたデュオ編成から始まった南風(当初は「ぱちみつはい」という怖いもの知らずな名前でした)。メンバーがどんどん増えて大所帯バンドになっていました。

◆レギュラーメンバー
・大森元気(残像カフェ
・田畑伸明(ビューティフルハミングバード
小池光子ビューティフルハミングバード
・萩原キョーコ(チョコレートパフェ/残像カフェ/メレンゲetc)
・萩原拓(チョコレートパフェ/カーブ/旭荘201)
・寺尾仁志(SSW/コール天)
・高木コータロー(HAYDON
佐藤良成ハンバート・ハンバート

◆ゲストメンバー(1回きり含む)
HARCO(現 青木慶則)
岩見十夢
田辺マモル
・伊賀航(細野晴臣/星野源 etc)
・オータコージ(曽我部恵一/空気公団etc)
・加藤雄一郎(NATSUMEN/L.E.D/曽我部恵一etc)
・村田シゲ(CUBISMO GRAFICO 5/オリジナル・ラブ/カジヒデキetc)
・倉谷和宏(旭荘201)
・植村太郎(RIDE RIDE BLUE TRAIN)

みんなでコーラスしたり、セッション的にアンサンブルを楽しんだり。各々自分の活動があったので本当にマイペースな活動でした。ライブもときどきしかやらなかったし、オリジナル曲も2曲しかありませんでした。(足りない分は各自の持ち曲やカバーなどをレパートリーにしていました)

SOS+の話をいただいたときにも「どうしよう、曲がないなあ」と困ってしまったのですが、残像カフェのスタッフ/A&R 山本氏のアイデアで、弾き語り用につくったばかりのこの歌はどうか?ということに。 欲を言えば南風のメンバーで新たに新曲を作りたかったですが、テーマにも合っているし、キャッチーだし、ゲストメンバー参加のアイデアもあったりして、最終的にはこの歌でいくことになりました。

音源ではレギュラーメンバー8人+HARCOさんと岩見十夢くんの合計10名が参加。リードボーカルも8人が代わる代わる歌って楽しい雰囲気になっています。

 *

新生活の季節。どこからどう見ても初々しい学生達や新社会人。それを見ているのは都会に慣れてしまった自分。 懐かしさも、うらやましさも、悔しさも、見守りたい気持ちも、いろんな感情が入り混じっている。春のざわざわした気持ちが追い打ちをかける。そんな歌を書きたかったのでした。

というわけでSOS+のために作ったわけではなかったので、反対運動どころか下北沢にすら関係がないのですが、まあそれもまたよしですね。

関係がない分、下北沢に思い入れのない人にも普通に聞いてもらえたのかなと。 この歌を推した山本氏は「みんなのうた」っぽいと当時言っていて、僕はあんまりピンと来ていなかったのですが今ならなんとなくわかるような気がします。メロディーが分かりやすくて、歌詞も(僕の歌のなかでは)多くの人に届きやすい。そんな意味で言ってくれたような気がしますね。

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「この街へようこそ!」
Performed by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.5.15公開
Written by 大森元気
Original Release:
・南風『the Sound of Shimokitazawa この街へようこそ!」(2005)
・V.A『モナレコードのおいしい音楽〜BEST&FINAL」(2014)※同一Ver


◾️「風薫る」残像カフェセルフカバー

本当はゴールデンウイーク頃にアップしたかった歌です。桜が散り、町じゅうが緑に染まり、心地よい風が吹く、一年でいちばん爽快な季節。そんな季節の気持ちを描いた歌。

手前味噌になりますがこの歌の最大の“謎”は、歌詞の冒頭に出てきた“君”がそれ以降1度も出てこないということです。新緑の風の中で見た薄着の君のまぶしさ。当然のことながら何かとても素敵な物語が始まりそうなのに...。 書き上げた時点でそのことに気づいていたのかどうか、記憶が定かではありません。まあよしとしましょう。

物語は勝手に想像していただきまして、緑の中で深呼吸し、忘れてた大事なことに気づく。そんなことが伝わればいいかなと。(そんな歌ダメですかね笑)

 *

すっかり忘れていましたが当初は“南風”用に作った曲でした。 南風については上記の「この街へようこそ!」のときに色々と書いたので割愛しますが、まだ4人編成だった時期に作って何度かライブでも演奏しました。

南風は各自メインの活動の合間にやっていたので特にリリースなどは考えておらず、そのため残像カフェのアルバムに収録する運びになりました。

ハモリ、2本のアコギ+アコーディオンによるフォーキーなこの曲。そんなもともとのアレンジを生かす意味でも、残像のレコーディング現場に南風のメンバーでもあったタバティとキョーコさんを呼び参加してもらいました。(コーラスは残像メンバーで担当したので、小池光子氏には別の機会に何度か参加してもらいました)

というわけで南風と残像カフェの融合したサウンドでレコーデイングされたこの曲は残像カフェの『4月のことば』というアルバムに収録されています。

冒頭に書いた謎。君との物語の行方は? どんな二人なのか? そんなことを想像しながら、続編となる新曲を書いてみるのもいいかも? そんなことを思いました。16年も経っているからそういう”時の流れ”みたいなものも絡めてみても面白いかもしれないなあ。


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「風薫る」
Performed by 残像のブーケ(a.k.a.大森元気)
2021.5.25公開
Written by 大森元気
Original Release:残像カフェ『4月のことば』2004



◆弾き語り動画シリーズ(一覧ページ)はこちら

 

information 


大森元気(ex残像カフェ/花と路地)は「残像のブーケ」というソロプロジェクト名で2020年心機一転始動しました。

【News / Release】
◆20.12.24 アルバム先行 第2弾「boys&girls」期間限定デジタルリリース
・Trailer映像▶こちら
各サブスクへのリンクページ▶こちら

20.6.12 残像のブーケ初リリース曲「ぼくの愛する暮らし」参加コンピリリース
・MVつくりました▶ こちら
・各サブスクへのリンクページ▶こちら
※再生していただくだけでコロナ禍打撃店舗への支援収益となります

Youtubeチャンネルにて自宅で歌うセルフカバーシリーズ公開中。弾き語りシリーズ不定期更新中。

【Live】
20.8 残像カフェ10年ぶり再集結終了。ありがとうございました。
残像のブーケおよびサポート参加ライブは決まり次第お知らせします

【OtherWorks】
あがた森魚2020年アルバム『浦島2020』に2曲コーラスで参加

あがた森魚2019年アルバム『観光おみやげ第三惑星』複数曲にコーラスで参加
・2019年公開より1年以上今なおロングランを続けている映画『嵐電』(らんでん)(監督:鈴木卓爾/主演:井浦新/音楽:あがた森魚)エンディング曲にコーラスで参加。DVDのほかサントラも発売中。
・「アートにエールを!」出展作品佐島由昭作品「遠くの窓からこんにちは」音楽を担当。YOUTUBEにてご覧頂けます。